郡民

オイラの町の消防団は、県の大会でも優秀な成績を維持してきた伝統あるものだった。団員達の努力や団結心もすばらしいものだと思っていた。彼らには、吉良町消防団員であることは誇りでもあり、一生の財産でもあるんだろうなと思っていた。だからこそ、家族も会社も協力してきたと思う。それが、合併と同時に、公費を無駄遣いしたり、宴会ばかりしている悪者軍団としてテレビや新聞に報道された。だいたい、領収書を受理した段階で、認めたということだから、団員に落ち度はないと言ってくれる人や、あれは公費ではないと言ってくれる人やら色々な意見も耳にした。いずれはっきりするんだろが、自分達の手で自分達の町や、伝統ある消防団を守ろうと頑張ってきた団員の士気を落胆させてしまっただろう。確かに、大きな都市部は地震の際でも自衛隊等によりいち早く救助の手が差し伸べられるだろうが、こんなちっぽけな町はどうだろう?住民は自分達の手で何とかしなくてはいけないと昨年の東日本大地震でも学んだはずなのに・・・悔しいけど、損得勘定の苦手な、単純で人のいい団員達には言い返すすべもないかもしれない。だから、余計に悔しいだろう。以前「郡民を舐めんなよ!」って怒っていたおじさんがいたけど、やっぱり「郡民」は郡民で「市民」にはなれないのかって思ったよ。合併して一年経ち、ただ町名が変わるだけだと思っていたけど、やっぱ、吉良町はいい町だったとしみじみ思うよ。忠臣蔵や人生劇場で名の知れた『義理と人情』の町だったよ。