桐の木


知り合いの方から、庭に生えていた桐の木を切り、これで作りたいものがあるから、何とかならないかと相談があった。亡くなったお爺さんの思い出の木だから・・ということだった。昔は、女の子が産まれると、嫁入り支度用の箪笥を作るために桐の木を植えたことがあるそうだ。今では作る職人さんも減っている。知り合いの家具屋さんに聞いたけれど、桐は扱ったことが無いと言われたそうだ。おかんは以前、自分や妹の桐の和ダンスを作ってもらった職人さんを思い出した。もう、20年以上前のことだが、その人は未だに年賀状を下さる。自分が手に掛けた物は、自分の子供同様、それ相当の思い入れがあるらしくちゃんと覚えてくれていた。どの位の厚みに製材すればいいのか、引いた後、直ぐに水につけてアクを摂り、乾かす事。乾いたら、見に来てくれて、お施主さんが欲しがっている物に応じた職人さんを向けてくれることになった。一週間、水につけて置いた桐は見事に白っぽくなった。どの位の間、干して乾かしておけばいいのか、まだよくわからないけれどワクワクする。一つ一つ、木と会話しながら仕事が出来る職人さん達の、お金では買えないやりがいというものが判る気がした。何でも、規格で統一された今の建築がつまらなく見えたよ。